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僧帽弁閉鎖不全症とは

基本的には犬に多い心臓の病気です。全ての犬の10%程、10歳以上の犬だと30%程が心臓病を持っていると言われています。その心臓病の中で最も多いのが僧帽弁閉鎖不全症です。

 

因みに犬の循環器疾患(心臓の病気を含む)による死亡は死因の第2位です(第1位は腫瘍性疾患)。

 

心臓はポンプの役割を行う心筋と血液の逆流防止の為の弁が組み合わさった構造をしています。その中で僧帽弁という弁がきちんと閉じなくなり、僧帽弁閉鎖不全症が起こります

僧帽弁閉鎖不全症になると、初期では症状はほとんどありませんが、進行すると咳や運動不耐性、さらに進むと肺水腫などを起こして命に関わるようになります。

僧帽弁閉鎖不全症はどんな病気?

僧帽弁閉鎖不全症はどんな病気?

まず僧帽弁とは、左の心臓の上の部屋(左心房)と下の部屋(左心室)とを隔てている扉の役割を行っている弁の名前です。つまり僧帽弁閉鎖不全症とは読んで字の如く、その僧帽弁が閉じきれなくなる病気を言います。

弁が閉じきれなくなる原因としては、弁の変性や心内膜炎(歯周病も?)などにより弁が厚くなり閉まりにくくなると言われています。進行すると本来は一方通行のはずの場所に逆流が発生してしまいます。

​症状は?

症状は?

逆流が僅かなうちはほとんど症状は認められません。特に運動不耐性については「歳を取ったから疲れやすくなったかな」と見落とされる事も多いそうです。
進行してくると明らかな運動不耐性や咳(特に夜や朝方など)が認められる事が多くなってきます。
さらに進行すると肺水腫を起こしたり、失神したり命に関わる症状も起こってきます。
肺水腫とは:僧帽弁で逆流が生じると左心房に圧がかかってしまいます。そうなってくると血液の流れとしては左心房の手前である肺で血液の渋滞(鬱血)が発生してしまいます。悪化すると肺がむくんでくるので呼吸できるスペースが狭くなり呼吸困難に陥ってしまいます。

どんな検査が必要?

どんな検査が必要?

聴診:心臓の病気ですので、一番重要であり、一番最初に心臓病を疑うのは定期的な聴診だと思います。高齢になってきたら予防や健康診断などで動物病院に行き定期的に聴診をしてもらいましょう
レントゲン・超音波検査:聴診で心音に雑音が聞こえても僧帽弁閉鎖不全症とは限りません。まずは超音波検査を行い、どこで雑音が発生しているのかを突き止める事から始まります。さらに僧帽弁閉鎖不全症が進行してくると心臓に負担がかかり心肥大が発生します。つまり大抵の場合は心臓の負荷がかかっている部分の肥大や拡張が発生するため、進行の程度を調べるためにレントゲン検査や超音波検査が必要になります。
その他:状況によって心電図検査や血圧、血液検査が必要です。
以上の検査結果から僧帽弁閉鎖不全症をステージ分類し、治療の必要性を評価致します。

治療は?

治療は?

明らかに有効的な治療として、外科的な方法と内科的な方法があります。
外科的治療:外科的な方法については当院では行っていませんので、詳細はわかりませんが、小型犬だと小児と同サイズの心臓ですので、かなりの技術を必要とする手術だと思います。手術の成功率は約90%程度と言われています。当院では行えませんが、信頼している心臓外科の行える動物病院をご紹介いたしますので、ご相談ください。
内科的治療:内科的な治療の目標は完治ではなく、心臓の負担を減らす事によって、心臓を長持ちさせる事と症状の緩和です。つまり「元気な時間を如何に長くするか」です。
明らかな心肥大(ACVIM分類 ステージB2)が認められたら、強心薬による治療が進められます。また、症状によっては降圧剤βブロッカー利尿剤等も併用します。
先程も述べましたが、最近は犬でも病気を早期発見早期治療する事によって元気な時間を長くする治療が主流になってきています。心臓の病気の場合、明らかな症状(肺水腫など)が出始めてしまうと治療の開始が間に合わない可能性もあります。


日頃から動物病院に通い、早期発見早期治療を心掛けましょう。

​※この記事に関して、間違っている点やご意見ご要望などございましたら、お問い合わせページよりご連絡いただけると幸いです。

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