腎臓病とは
泌尿器系疾患(腎臓含む)は犬の死因第3位、猫の死因第2位(データによっては第1位)です。
そのような重要な臓器である腎臓はどのような働きをし、どのように弱っていくのでしょうか?
腎臓の主な働きは尿を作る事です。
血液の中の老廃物を腎臓内で濾し出し濃縮し、尿として排出する事により血液を綺麗にしています。
また、その過程で血圧の調整やミネラルバランスを整えるなどの重要な役割を担っています。
腎臓は様々な原因で破壊されていきますが、
破壊が進んでいくと尿を濃縮する力が弱くなり、多飲多尿が症状として出てくる子が多いです。
最終的には血液中の老廃物を排出することができなくなり、体内に老廃物(尿毒素)が溜まって尿毒症に至ります。
腎臓の働きについて
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尿を作る
腎臓は血液中の老廃物(人では尿毒素として100種以上の代謝物が報告されています)を糸球体で濾し出し、濃縮・調整する事によって、体の代謝産物やミネラル、水分の調整を行っています。
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その他
他にも血圧の調節や造血の調節など様々な役割もあります。
腎臓病の原因
腎臓が破壊される原因は様々なものがあります。自己免疫疾患や腫瘍、腎結石、先天性疾患、感染症、中毒、血圧の変化などが原因です。
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自己免疫疾患
様々な自己免疫疾患によって糸球体腎炎が起こり、腎臓が破壊されます。
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腫瘍
腫瘍が大きくなる事により物理的に圧迫されたり、腫瘍周辺の炎症による破壊が起こります。
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腎結石
腎臓が作った尿の流れを妨げる事により、腎臓の機能を阻害してしまいます。また、結石が大きくなる事による圧迫や周囲の炎症によって破壊が起こります。
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感染症
尿路を遡ってくる細菌や血流から入ってくる細菌がいます。増殖する細菌による炎症により破壊されます。
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血圧
心臓病やショックなど血圧の大きな変動により、複雑で繊細な腎臓の血管がダメージを受けてしまいます。
慢性腎臓病になるとどうなるの?
慢性的に腎臓が破壊され、障害を受けることによって機能に影響が出てきている状態を慢性腎臓病と言います。
2023年現在、IRISによる慢性腎臓病のステージ分類があります。
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腎臓の主な働きは尿を作ることです。
腎機能が低下してくると、水分やミネラルの調整部分に影響が出てきて多飲多尿(飲水量・尿量が増える)が出てきます。
また、本来なら腎臓から尿に漏れ出さないはずのタンパク質や糖質などの栄養素が尿に混じる事もあります。
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腎臓には尿を作る以外にも様々な仕事もあります。
場合によっては高血圧や貧血などの症状も認められます。
さらに進行すると本来なら体から尿に排泄すべき老廃物(尿毒素)の排泄が上手く出来なくなり、老廃物(尿毒素)が体内に残ってきてしまいます。
そのような老廃物(尿毒素)が体に溜まることにより引き起こされる症状の事を尿毒症と言います。
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尿毒症
人では老廃物(尿毒素)の種類は100種類以上と言われており、本当は体から出た方が良いものが残ってしまうことで、さまざまな影響が引き起こされます。例えば体重減少、脱水、潰瘍、貧血による粘膜蒼白、高血圧による網膜剥離などが認められます。
一般的な腎臓の検査
主なものとして血液検査と超音波検査、尿検査、血圧測定が挙げられます。
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尿検査
尿比重や尿蛋白などを測定することにより、多飲多尿の症状の有無や腎臓の破壊の程度を判定します。
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超音波検査
腎臓のサイズや構造、腫瘍の有無や腎結石の有無などを見ます。腎臓の機能の測定というよりも腎臓がダメージを受けている原因を追求するのに向いています。
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血液検査
尿毒素の一部(BUN、CREA、SDMA)と、ミネラルバランス、貧血の有無を測定します。慢性腎臓病の早期発見にはあまり向いていませんが、残された機能を判定するのに向いています。
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血圧測定
高血圧を併発しているかどうかを測定します。高血圧を併発している際は腎臓病のさらなる悪化や心臓などの他臓器に対する影響等もあり、血圧を下げる治療が必要です。ただし、血圧を上げる事によって腎機能をカバーしている場合もあり、血圧を下げる際は血液検査を行う等の慎重さが必要な場合も多いです。
一般的な腎臓の治療
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急性腎不全
一時的な障害であった場合は素早く対処すれば腎機能は取り戻せるかもしれません。そのような状態を急性腎不全と言います。急性腎不全を引き起こす原因も様々あり(中毒や結石、感染症など)、原因に対しての治療と、腎臓に対しての負荷を減らすため適切な点滴治療も必要になります。
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初期の慢性腎不全
腎臓の機能は一度完全に破壊されてしまうと元には戻りません。
初期の慢性腎臓病では尿毒素をなるべく作らせないこと、さらにミネラルバランスをとる事、血圧をコントロールすることによってなるべく腎臓にかかる負担を減らし、長く機能を維持していくようコントロールします。具体的には食事や内服薬などを用いて治療を行います。
※最近は療法食フードをペットショップやネットショップで購入する方が増えています。腎臓に関して療法食は大切な治療の一つです。動物病院以外で購入されている場合はかかりつけの動物病院が食べているフードを把握出来ない状態になります。その時その時によってフードの変更も必要になる場合もありますので、動物病院で勧められたからと漫然とそのフードを続けるのではなく、なるべく療法食を勧めた動物病院でフードを購入し、定期検査を受けましょう。
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進行した慢性腎不全
腎臓病が進行し重度になってくると、様々な症状が出てきて身体の恒常性(健康な状態のバランス)を本人の力で保つことが困難になってきます。そうなってきた場合、身体の恒常性を維持するために点滴と他にも必要に応じた対症療法が必要になってきます。
基本的に急性腎不全の場合はいかに素早く元通りに戻せるかが治療の目標です。
また慢性腎臓の治療は、いかに残された腎臓の機能を維持していくか、また元気に余生を過ごせるのかが治療の目標になります。
腎臓病にならないようにするにはどうすれば良いのか?
腎臓病の原因は様々であり、それらの原因を完全に取り除くのは困難です。それよりもこまめに健康診断を行い、腎機能が落ちていることを早期発見する事が重要です。上記に記載したとおり腎臓の治療の目標は残された腎機能をなるべく長く維持していくことが大切になってきます。
早期に腎臓病を発見し早期に治療を開始する事により、元気に過ごせる時間を長くしてあげましょう。
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